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メモに書かれた住所の場所に着いた。大きな庭がある一軒家である。インターホンで呼び出すと、すぐに中から返事があった。
「どちらさまですか?」
「竜神健と申しまして、竜神明子の息子です。竜神明子をご存じだと思うのですが?」
「竜神明子さん、存じませんね」
「すみません、家の他の方が知っているのかもしれません。2カ月前にこちらに母がダンボール箱を2箱送ったのですが、その中身を見させていただきたいのです」
「ちょっとお待ちください」
しばらくすると白髪のおばあさんが車椅子に乗って出てきた。後ろはお手伝いさんだろうか、車椅子を押している。
「竜神健と申します」
「鈴木加奈子と申します。竜神明子さんですか、存じませんね」と白髪のおばあさんが笑顔で答えた。
「母がこちらにダンボール箱を送ったのは間違いないので、どこかにあると思うので、確認していただけませんか?」
「わかりました。調べてみますね」
「ありがとうございます」とお辞儀をして、手帳に自分の携帯番号と名前を書いて、手帳のページを破り渡す。
「連絡先を教えていただけますか?」と聞くと、後ろで車椅子を押していた女性が「私は鈴木家のお手伝いをしています佐藤と申します」と言うと僕の携帯電話が鳴った。佐藤さんが僕の携帯番号に電話をしたのだ。
「こちらにご連絡ください」お礼を言って、鈴木家を去った。
後日、鈴木家から連絡があったが、やはり見当たらないと言われた。しかし、宅配業者が母からの依頼で送ったのは間違いない。絶対に鈴木家にあって何か理由があり、隠しているのだ。だいたい、母の死の直前に父の研究部屋から2箱を動かすこと自体おかしい。
父の死に関する事か、それとも別の事か、とにかく父に関係する事は、母は話したがらなかった。鈴木家に忍び込むわけにはいかないし、神父さんに相談に行くことにする。
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