【前回の記事を読む】僕がマルコ・ポーロの末裔?! 招待されたパーティーで告げられた驚愕の事実

第二章 人生を大きく変えるベネチア旅行

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夢の中にいるようなベネチアから家に帰ってきた。まだ信じられないが、研究部屋にいくつか家系図があったのは覚えていたので、まずそれを見たかった。

マルコ・ポーロの家系図を見る。マルコには2人の妻がいて、1人はイタリア人、それからもう1人は中国人の女性で、ここから2系統に分かれて家系図が書かれている。

それを追い続けると、父の名前が最後にあった。この信じがたい話は本当なのか? 父より丁度10代前の先祖から日本名になっている。この頃、日本に渡ってきたのだろうか。

これがわかった時、父は何を考えたのか。

母もこのことも知っていたのだろう。

そして僕はこれからどうすれば良いのか。

そんなことを考えながら、家系図をじっと見つめている。思考停止状態から、何かしないといけないという気持ちに僕の心情が変化してきたのを感じる。どうすれば良いのか、まだわからない。でも動かないといけない。

相手の動きを予測し、拳をつく。間合いと気合が大切だが、相手の動きをしっかり見ることはもっと大切だ。

「そこまで。健、しばらくぶりにしては、集中していて動きが良かった。相手が見えていたな」

「先生、ありがとうございます」

汗だくだが、もやもやした気持ちを払うのには、悪くない。戦いながらだが、頭がクリアになってくる感じだ。

「健、今日は別人、特訓でもしてた?」京子が声をかけてくる。

「するわけないだろう。でも、無性に空手をやりたくなったんだ」

「なんかわかる気がする。信じられないことばかり起きたものね。動く気がずっとしなかったんでしょ。それがたまって爆発した感じ」

「いや、それが反対なんだ。あんな事実がわかって以来、何か動かないといけないという衝動があるのに、どうしたら良いかわからず頭の中の整理も出来てなかった。それで空手がしたくなったんだ」

「ふーん、そうなんだ。それで頭の中の整理はできた?」

「うん、とにかく父が追いかけていた研究の足取りを追いかけてみるしかないという結論になった」

「じゃ、また研究部屋の生活が始まるのね」

「そうだね、コンビニと行ったり来たりだ」

「お弁当を持って手伝いに行くわ」と京子が意気込む。