第一章 母の死と父の面影

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京子からグッドのサインが送られてくる。

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ヒントがないか探すがぴんと来るものはない。ヒントを探しながら、父のことどころか、母のことも自分はよく知らないと感じた。一体今まで自分は何を考えて生きてきたのかと思うほどだ。それで、今日は母の親友に会ってみることにした。

家の近所の喫茶店で待っていると、母と同じ年くらいなのに、いつも明るい色調の服をおしゃれに着こなしている齊藤雅子さんが現れた。

「健君、元気?」

「はい、元気です」

「お葬式の時には、あまり話さなかったので、どうしたかなと思ってたところに丁度、電話をもらったので」

「すみません。お忙しいところ来ていただきまして」

「それより私に電話をしてくるなんて何かあった?」

「いえ、特に何かあったというわけではないんです。ただ、雅子おばさんは、母と長い間、友達でいていただいたので、母のことはよく知っているのではと思ったのです」

「そうね、明子とは、高校生からだから、30年以上だわ」

「ええ、母が死んで、自分が母のことも父のことも全く知らなくて、ちょっと聞きたいと思ったのです」

「何を?」

「母は父が考古学をやっていたことをどう思っていたのですか?」

「明子は、亮さんのことをいつも応援していたのよ。調査費が足りなくなると、実家に借りに行ったりしてサポートしていたわ」

「そうなんですか? てっきり母は父の仕事が嫌いだったのかなと思っていたんです」

「どうして?」と雅子おばさんは驚いたようだ。

「実は、父が死んでから、母は父の仕事の話は僕にほとんどしなかったんです」

「そう……」

「それと父の事故についてなんですが、何か聞いていますか?」