夜中は、とにかく孤独感に襲われ、昼間は、無力感に襲われた。

そしてある日、ある答えに行き着いた。

もう心なんていらない。

心なんてあるから辛いんだと……。なんとも単純な話だ。

〈私は、寂しくない。苦しくない。辛くない。哀しくない。〉まるで念仏のように、毎日毎日、自分に言い聞かせた。

すると、不思議なことに、その感情から解放され始めたのだ。

何を言われても、何をされても、何も感じなくなるのは、案外簡単なことのようだった。

しかし、喜ぶという感情だけは、自分から切り捨てることに苦戦し、かなり時間を要してしまった。

そして、切り捨てる方法として浮かんだのが、良いことがあった後に嫌なことがあると、その落胆さはとても大きいということ。喜んだってすべてが台無しだ。

いや、むしろマイナスになるほど心には大きなダメージだった。

そんな思いをするくらいなら、もう喜ぶのをやめたい。

それを痛感して、毎日思い込み続けることで、私はついに13歳で喜怒哀楽すべての感情を切り捨てることに成功した。

その後は、なんだかとても楽になり、人や物事すべてを冷めた目で見ているような、冷え切った感情だけが残った。

    

【前回記事を読む】兄の友達が、また私の部屋に来た。その日彼は、私のベッドに腰掛けて…激しい鼓動と恐怖。頭は真っ白だった。ちょうどその時…

次回更新は1月6日(月)、21時の予定です。

  

【イチオシ記事】ホテルの出口から見知らぬ女と一緒に出てくる夫を目撃してしまう。悔しさがこみ上げる。許せない。裏切られた。離婚しよう。

【注目記事】「何だか足がおかしい。力が抜けて足の感覚がなくなっていくような気がする」急変する家族のかたち