炊き立てご飯
炊き立てご飯 ふわふわご飯
白い湯気の向こうで つやつや笑うご飯
しゃもじで さくさく切る
お母さんの両手
さくさく 切っては ふわりと 返す
食卓にそえられた カラフルな 野菜ふりかけ
畑からとれた 緑黄色野菜が
全部 ここにある ここにいる
豊かな地球の味を 嚙みしめる
炊き立てご飯 ふわふわご飯
お焦げを見つけられたら 幸せ
お焦げを見つけられなくても やっぱり幸せ
今日も 食卓に 炊き立てご飯が のせられて
一日の終わり 寂し気な夜の食卓が 明るくなる
温度があがる
みんなの笑顔を 連れてくる
コーンスープ
コーンスープのきれいな黄色の粉に お湯を注ぐ
くるくるくるくる回って 優しいポタージュになる
猫舌のあなたが飲める温度になるまで おとなしく待っている
時計の針が進む
スプーンでスープをなぞって 表面にできた薄い膜をすくいあげる
(表面だけをなぞるなんて、現代社会の人間関係みたい)
とわたしはぼんやりと思う
スプーンを伝わるスープの熱があたたかい
わたしがあなたを思って淹れた たんぽぽ色のスープ
パセリを散らしたら 黄色と緑のマリアージュが 本当にたんぽぽみたいで
あなたは「キレイ」とつぶやいた
時計が正午をさして あたたかな昼食が あなたのひとくちから 始まる
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