四季折々、わたしのカケラ

花の詩

すみれ の 花の 色

たんぽぽ の 蜜の 味

あさがお の つるの 細さ

自由に 咲き乱れる 花びらの 重さは どれくらい

  

春夏 秋冬

  

やわらかな色使いで こころが照らされて

  

ばらの 棘は なんのために

蓮の 葉っぱは 池をおおって

あじさいは 花の色を えらべるの

  

ぬくもりの なかに しのびよる なにかの 気配

  

綺麗に 色をつけて あざやかな 足跡を のこす 花のいのちは どれくらい

  

移ろい、循環、回帰

そこにいたのは 春

桃色の頬の 子どもの姿だった

穢れのない 澄みわたる瞳で わたしの瞳を覗き込んだ

透明な風が 春の存在を 浄化させる

残り香が わたしをかすめたとき

世界で一番 鮮やかな空が続いていた

  

はしゃぎ踊る 夏の少女

麦わら帽子 海辺 西瓜の後ろの打ちあげ花火

こぼれ落ちる太陽の笑い声を 両手で受け止める

あふれでた光は 向日葵の黄色になった

夏の世界では 穢れは姿をひそめ

空と海の境界線が消えて ひとつの青になる

  

淋し気にたたずむ 秋の女性

枝から葉が落ちるように ひとつずつ想い出を手放す

足元は 世界の穢れと想い出で 埋め尽くされ

そっと吹きかけた吐息で 空に舞い上がった

もう二度とわたしのもとには 戻ってこないだろう

穏やかな瞳に 遠い過去が映る

  

新雪のように優しい 冬の老婆

こんこんと積もる雪は 世界の穢れを覆い隠す

残された白銀の世界で 新たに太陽が昇る 静寂

老婆は 蘇る走馬燈を懐かしんで 瞳を閉じた

わたしが終わるとき 季節は終わる この世界も終わる

そして訪れる祝福の時 新しい世界の誕生