2013年4月にいわゆる「黒田バズーカ」と呼ばれた異次元の金融緩和政策が発動され、低金利政策の影響から住宅地価は上昇しました。異次元の金融緩和の影響を強く受けた住宅地価の上昇は、人口が集中する地域に限られています。
人気の大都市中心部の再開発エリアが、将来価値の上昇を見込んだ投資として注目を集めています。
「世界の都市圏の人口割合は年々増加傾向にあり、中でも東京の都市人口は、2025年まで世界第1位の予測となっています。埼玉、千葉、神奈川を含む東京圏には日本の総人口の約3割が居住し、都市への人口集中の度合いは世界の中でも高くなっています」
(総務省 情報通信白書 令和2年版「都市部への人口集中」より一部引用 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd121120.html)
日本では、大都市への人口の集積が進んできたことがわかります。人々は豊かな生活を送るために、都市という集積の経済を使ってきました。集積することで、企業活動に必要な資源や情報、人材などが容易に入手できるようになります。
取引関係にある異業種の企業が同一の地域に立地することで、コミュニケーションにかかる費用を大きく節約できます。異業種の技術者が集うことで、新たな創造の発想によって、新しいアイデアなどが生まれ、生産性が向上することが期待できます。集積の経済を発揮できる都市という環境が、生産性の向上の確保に必要と考えられます。
高額マンションを購入、あるいは高額な家賃を負担して大都市中心部に住む人は、住むことでリターンが大きいと考える人です。
大都市には、技術・知識集約性の高い産業が集積していることで、個人的にも生産性を高める余地があると考えられるからです。
職場に近く、大都市中心部へのアクセスの良さを持つ駅近タワーマンションの利便性は、他の地域との格差を広げる要素です。
「2021年度首都圏(1都3県)新築マンションの1戸当たりの平均価格は、6,360万円とバブル期を超え、過去最高を更新した。地域別での平均価格は、東京23区が、8,449万円で過去最高になった」(不動産経済研究所 2022年4月18日)
注意しなければならないのは、生産性を高めるエンジンが失われて、コストに見合ったリターンが得られなくなれば、人は去ります。人・モノ・情報を、東京に集めることで、機能してきた、集積の経済という生産性向上策が、働かなくなったら曲がり角を迎えます。