▼ 治療抵抗性と全体像
このグラフで定期通院者の全体像を見ることができます。全体を見渡すと、1回以内の高齢者が多く、80歳未満ではほとんどが1.5回以内でコントロールできていました。80 歳代も半数は1回以内であることがわかります。それでも80歳以上では治療(内服、内服+生活指導)抵抗性が徐々に強くなり、コントロール不良が増えていることがわかります。
また、50代、60代では1回以内がほとんどで、仕事のある世代では活動水準が高く、生活の規則性があれば夜間排尿回数が少なくなり、投薬のみで夜間頻尿は改善します。70代は治療で努力すれば回復力が保たれ改善の余地が十分にあるが、80代から回復力が徐々に減衰して抵抗性になりコントロール不良になっていく傾向が見て取れます。
このグラフでわかることは、当院の排尿障害に関する定期通院者の年齢分布の全体像と、夜間回数からみる治療の効果と抵抗性が高齢化とともに変化する概略が俯瞰できると思います。
先の図②.を、もう少しわかりやすくみるために年代別の夜間排尿回数をまとめるとともに、治療効果については焦点を絞って1回以内の治療効果と3回以上の治療抵抗性についてまとめ、年代別の傾向をみてみました。
▼ 1回以内の治療効果と3回以上の治療抵抗性
次ページ図③.のグラフでは、先のデータから当院定期通院患者における年代別の夜間頻尿の患者数と回数、それに治療効果と抵抗性について見ていただきます。夜間頻尿において、夜間頻尿診療ガイドライン(2009年)に、重度(3回以上)の夜間頻尿は後期高齢者で特に急激に頻度が上昇することが示されています。
【前回の記事を読む】高齢者の夜間頻尿1回は正常の範囲内。膀胱の柔軟性の低下や睡眠が浅くなりがちなことが要因。
【イチオシ記事】「リンパへの転移が見つかりました」手術後三カ月で再発。五年生存率は十パーセント。涙を抑えることができなかった…