また責任教室をどこかに決めてあります。その教室が企画から講義の担当教員、試験から成績評価に至るまで、まとめをしていただくと、あまり問題になりません。何より学ぶ方は、臓器別の系統的な学習ができるので、無駄が少なく、好評のようです。このような臓器別の多分野にわたる講義は、次第に各大学で広がりをみせているようです。
臓器別の複数の教室にわたる系統的な分け方は、授業だけでなく、領域別の会合などにも応用されています。実際臓器別の会合には、その分野でも専門の病理学を主体とした基礎系の先生や、画像診断の専門家、さらには内科系、外科系の諸先生方が一同に集まります。症例を中心に検討を進めていくことが多いのです。
ここでは基礎医学や放射線医学の専門家、そして内科系・外科系の先生方まで集合します。そして患者背景から病理診断を含む総合的な診断、さらにはその患者に最適な治療に至るまで、情報を共有します。この場で意見交換を通して、その疾病に関する最先端の手技を学び、最良の治療戦略を皆で討論します。
臨床上何が求められるか、など重要な視点について、症例を通して学ぶことができます。他方、臨床の先生には、その領域の病理学や画像診断学を情報共有することができます。このように学生教育に限らず、多くの臨床の場で応用されている、領域ごとの専門集団の会合と言えます。
このような基礎から臨床に至るまでの臓器別の会合が盛んになると、それぞれの領域での人的交流も進みます。そこでは珍しい症例の症例報告や、いくつかの症例を集めた臨床研究などの相談を、教室横断的に進める場にもなりえます。
若い教室員には、それぞれ自分の専門の領域を決めることができれば、その専門家の集まる会合に積極的に参加することを勧めています。日常診療で忙しい若手の先生も、そのような会合に出席することで、人的交流もでき、いろいろな課題について関連医局の先生方と、気軽に相談できる場にもなっているようです。
【前回の記事を読む】予測不能の口頭試験。合格者から順に教室を後にして、最後まで残った数人に告げられる落第。
【イチオシ記事】「リンパへの転移が見つかりました」手術後三カ月で再発。五年生存率は十パーセント。涙を抑えることができなかった…