5 臨床医学の学習はもちろん重要

② 臓器別系統的講義

その場には若い研修医はもちろん、学生実習の学生たちも参加している場合も見受けられます。それぞれに大いに勉強できる魅力的な機会となります。その場では、かなり最先端を含む専門的な意見交換もなされているでしょう。

学生がもし参加を許されているのなら、ぜひ参加してどのようなことが議論されているか、に注目してほしいものです。もちろん教える側は、会合の後に個別に学生達に簡単な説明を加えることも大切でしょう。意欲的な学生にとっては、領域ごとの学習を統合的にできる魅力的な機会だと思えます。その分野に一段と興味を深めることにも役立つでしょう。

③ 教員と学生とのやりとり

入学したての1年生が早期臨床体験と称して、臨床の現場に実習で回ってくることがあります。新入生らは、これが将来勉強する臨床の現場か、と希望に胸を膨らませて、皆明るい表情でやってきます。難関を無事突破して、医学部に入学できた、との自信もあるのかもしれません。

他方臨床講義に回ってくる3、4年生はどうでしょう。すでに多くの講義や実習を済ませて、多くの知識を持っています。ただきっとこれまでの試験や口頭試問等の連続で、かなり疲れ切っているように見えます。講義が始まる前から、学生がいささか疲れているようです。入学当初の勉学に対する意欲や将来への希望が、入学後の数年でかなり薄れてしまっている印象を受けます。

臨床医学に至るまで、さまざまな学習をしてきたのでしょう。ここまでの知識を、いよいよ臨床学習に応用できる大切な機会です。余裕をもって進級してきてほしい、というのが臨床系教員の願いです。

臨床講義は通常90分とされていますが、正直言ってこの時間を、長々と一般的な講義に終始していては、学生も退屈でつらいでしょう。一部の大学では、学生の負担軽減のために、講義時間を60~70分に短くしているところもあります。

でも大切なことは、それらの講義にメリハリをつけるなど、教員からのひと工夫が必要と感じます。でないと途中で居眠りをしている学生を、多数作ることになります。睡眠不足やクラブ活動などで疲れている学生の立場も、わからないではないです。

試験にでるぞ、と脅かしつつ、講義して眠らさないのもいいでしょう。でもできれば学生に楽しみながら、それぞれの講義の要点をしっかり学んでもらいたいのです。講義の中で大切なポイントを強調すること、逆に試験には関係ないものの、最近の話題などを気軽に紹介することなど、メリハリの利いた工夫があるとよいでしょう。