5 臨床医学の学習はもちろん重要
① 臨床講義で学ぶ
基礎医学の学習の後には、いよいよ臨床医学の授業がはじまります。将来多くの医師が関与する、医療の実践に直接関与する、大切な学問領域です。すでに系統的な教育が組まれており、それに基づいたしっかりとした学習が求められます。
臨床医学では、その名の通り、臨床で対象とする疾病学が主体となります。でもこの領域では解剖、生理学、生化学等の前章で述べた基礎医学で学んだことが役立ちます。それぞれの専門分野の病気の統合的な理解が必要であり、そのための適切な診断から治療までのプロセスも学習します。
臨床講義の多くは、それぞれの臨床の教室が担当しています。教室毎に実施できるので、全体の構成を作り、それにふさわしい担当する教員を選んでいく過程が容易になります。もちろん試験や合否の有無に至るまで担当教室で実施されます。
受講する学生にとっては、どの教室が教育に力を注いでいるか、またどの領域に最も興味を引くか、を学び、将来の進路を決めていく上でも、貴重な授業となります。
② 臓器別系統的講義
最近では、個々に紹介する臓器別の系統講義が採用されている大学も増えてきました。それは脳神経、循環器、呼吸器、消化器などの専門分野に分かれ、それぞれの領域で解剖、生理、生化学、病理学などの基礎から、画像診断、そして内科系、外科系、等に至るまで、順次教室横断的に講義をしていくものです。
担当教室が多岐に渡るため、企画・運営する方は大変です。でも講義を受ける学生にとっては、臓器別に基礎から臨床まで、系統的に効率よく学ぶことができます。
私たち放射線科教室や、病理学を中心とした基礎医学教室は、多岐にわたる分野を担当しているため、それぞれ複数の系統講義を担当していきます。とりわけ試験や成績つけなどでは、煩雑で大変です。でもいったん教育プログラムができると、毎年それに従って進めればよいのです。