日本の製造業のDXが成功しない3つの理由

しかしながら、日本の製造業でDXに華々しく成功したという事例はあまり聞かない。

その理由は3つにまとめることができる。

①日本の経営環境

②経営トップの理解不足

③組織内の同調圧力

第一の経営環境とは、日本では従業員の解雇が難しいという問題である。

そもそもデジタル技術は自動化や省力化で効率を上げることが得意であり、その結果、余剰人員が生まれる。余剰人員をすぐにレイオフできる米国では、それがそのまま収益改善や株価上昇につながるので、経営陣は率先してDXに取り組む。

一方、解雇の難しい日本では、自動化で生み出された余剰人員はそのまま温存され、収益の向上につながらない。余剰となった社員のリスキリングによって、新たな収益を生み出す必要がある。

第二は経営トップのDX化への理解が不足したまま、DX推進部のような組織を作り、そこにDXを丸投げするようなケースである。そこに第三の要因である成功体験への執着と現状維持への同調圧力が生まれたとき、DXは中途半端な形で終わる。

典型的なケースを考えてみよう。DX推進部はデジタルツールの導入を進める権限は持つが、肝心のプロセス変革にまで切り込むのは難しい。現状を変えたくないという現場の同調圧力に負けて、DX推進部は組織やプロセスを変えずにデジタル化だけを進めてしまう。これは古い組織やプロセスを温存することを意味する。結果的に非生産性を拡大し、ムダなIT投資を増やすことになる。これだけ社会が大きく変化しているのに社内の変化を拒否することになる。

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