障がい者支援施設である西多賀ワークキャンパス(現仙台ワークキャンパス)で知り合った男性の姿を、コンビニエンスストアーの店頭に並ぶ人々の中に見掛けた。
彼は話をする時、どもりがあり、話せない時がある。それでも知り合いには声を掛ける人だ。緊張すると体が震える時もある。
彼は周りをキョロキョロしながら落ち着きのない仕草で黙って列に並んでいた。その日は3か所のコンビニで彼の姿を見掛けた。どの店も20人から30人の行列を作っていた。食料を求め、生活雑貨を求める買い物客。どこの店も棚にはほとんど品物がなかった。
コンビニエンスストアー
震災当日よりコンビニエンスストアーでは、主に非常食、電池、ろうそくなどを求める人々が、店頭の駐車場に長い行列を作った。津波被災地区は商品が根こそぎない。乗用車が店内に重なっているあり様を目撃した。
翌月4月末までに再開したお店は約80%、ただし全商品が揃っているわけではない。コンビニ事業本部に再開店舗情報を求めるが、個人情報保護ということで公開されず。ある事業部ではインターネットで公開していますと答える。
津波の影響によるコンビニエンスストアーの閉店は閖上・石巻・女川・南三陸・他(目視)。もちろん周囲の住宅や建物は津波に流され跡形もない。
大型店
箱型建築が多く下階駐車場を有する大型店舗は構造的に柱間が広く、ローコスト構造に取り組むあまり地震の被害が多く目立つ。床や天井の波打つ揺れに伴い天井が落下、フロントガラスの破損、壁の剥がれ、エスカレーターの破損、屋上設置室外機の転倒など。
商品は倒れ傷がつき、まだ使える商品であるが売り物にならずと処分され駐車場に山積みされていた。今思うに、あの商品を被災者に届けたらどんなに助かっただろうかと物の豊富な時代、心痛む思いであった。
2011年8月、再開90%まで復旧。2011年12月には、ほぼ再開(情報と目視)した。
【前回の記事を読む】私が商業施設士になるまで 職人の父のそばで幼いころから木箱やうさぎ小屋、竹細工の編みかごなどを作っていた。