「よくやった。私もとても嬉しいよ。無事にホシをパクったらお祝いしような」佐伯は有田の耳元で囁いた。
「はい!」
有田は満面の笑顔で自席に戻って行った。
その後の捜査で、容疑者の住居、氏名が判明し、また聞き込みの結果、この容疑者がギャンブルで借金を作りサラ金に手を出していたことも判明した。時間は午後七時を回っていた。
「課長、これで容疑は固まりましたね」
「ああ、写真は入手できたか?」
「はい。今、被害者に見せるために準備をしております」
「よし。あとは一課待ちか。加藤係長、一課は何と言ってきている?」
「ああ、一課さんは明日じゃないと来れないってよ。それまで逮捕状の請求は待てだと。所轄をなめやがって」
「仕方がない。では明日一課が来るまでは待機だ。ホシの動きはどうだ?」
「はい、ホシの家に張りついている刑事からの一報では、室内は電気がついているのでホシは室内にいるとのことです」
「わかった。では張り付いている刑事はそのまま続行させておくとして、他の者は明日に備えて早めに仕事を切り上げて帰ってくれ。補佐、現場にいる刑事には何かあったら報告するよう指示しておいてくれ」
「了解」
城島は頷いた。
その後佐伯は、逮捕状請求書類に目を通したあと、午後八時過ぎに署を出た。
次の日の朝、佐伯は少し早めに署に出勤すると、署の前にはマスコミが殺到していた。
「これはどういうことだ」
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