刑事狩り

その加藤らと入れ替わりに城島が刑事課に入ってきた。

「おっ、奴ら今日は早いな。残業時間抑制の指示が効いたようですね」佐伯に声をかける。

「ああ、そうみたいだな」

佐伯の憮然とした表情を見て、城島が恐る恐る佐伯に尋ねた。

「課長、何かありましたか?」

「いいや。だがこれでよくわかった。奴に歩み寄りなんかないってことがな」

佐伯はすっかり冷静さを取り戻し、城島の肩をポンと叩くと、笑みを漏らした。

その日の刑事課は朝から騒然としていた。

「おはよう。みんな朝からどうした?」

佐伯が皆に声をかけると、有田が一番に掛け寄って来た。

「課長! あの南署管内で発生した連続強盗事件の容疑者が浮上したんです!」

「ほう、それは良かった。で、南署はもうホシをパクったのか?」

「それが」

「それがですね課長、このホシを有田さんが割りつけたんですよ!」横から手塚が口を挟む。

「本当か? それは凄いじゃないか。どうやってホシを割ったんだ?」

「はい、南署とうちの署は隣接じゃないですか。だから被疑者が犯行現場からうちの管内に逃走したんじゃないかと思って署境の防犯カメラを当たってみたら、犯行当時の被疑者の服装に似た男がいまして」

「それでその画像を基に過去の犯罪者を洗ってみたら容疑者が浮上したんですよ」また手塚が口を挟む。

「時間的には合うのか?」