第一章 だれがいじめを解決するのか
―学習指導要領といじめ解決―

社会のニーズをふまえ10年ごとに改訂

学習指導要領は時代の変化や社会のニーズなどを踏まえ、ほぼ10年ごとに改訂されます。

1960年から70年代にかけては、過密カリキュラムや知識の暗記を重視したいわゆる「詰め込み教育」が行われました。

しかし、文部省(当時)は偏差値重視の教育がいじめや不登校などを誘発していると社会から厳しい批判を受け、つぎの学習指導要領は学習内容や標準授業時数を大幅に削減したものとなりました。いわゆる「ゆとり教育」のスタートです。

学校は歓迎しましたが、いっぽうで学力低下や国際競争力の弱体化などの批判があいつぎ、2011年度の学習指導要領からは「脱ゆとり教育」へと方向転換されました。

現在の学習指導要領(小学校では2020年度、中学校は2021年度から全面実施)は「脱ゆとり教育」の延長線上にあり、教える内容も大幅に増えています。