【前回の記事を読む】気に入らないことがあると「つらい苦しい、いじめだ、いじめだ」と口にする強者も現れ、先生がいじめを見つけ出すことは難しくなっている。
第二章 国民を欺く違法ないじめ対策
―学校いじめ防止基本方針の欺瞞―
いじめ発見を遅らせる先生の勝手な思い込み
【学校としての構え】
〇いじめが解消したと即断することなく、継続して十分な注意を払い、折に触れ必要な指導を行い、保護者と連携を図りながら見届ける。
「結びつきやつながり」「温かい心」「いじめは人間として絶対に許されない」「ひびきあい集会」などと学校の構えが並んでいますが、皮肉なことにそれでもいじめは発生しました。
その理由に、先生の楽観的で自分勝手な思い込みがあります。
文科省の国立教育政策研究所(以下、国研)が実施した「教師対象の意識調査」によると、「いじめの加害者になる子供は、何となく見当がつく」と「いじめの被害者になる子供は、何となく見当がつく」という設問に対して、「賛成」または「まあ賛成」と回答した教師が全体のおよそ50%になることが分かりました。
この意味するところは深刻です。
つまり担任が「あの子はいじめに関係がある」と見当をつけた子ども以外に、実際には教室にはいじめに関係する子どもがかなりの数で存在しています。
にもかかわらず担任は、「あの子はいじめに関係ない」などと勝手に思い込んでいるのです。これが、いじめの早期発見を遅らせるひとつの要因です。
実際にタカシくんの場合、小学校2年生から5年生までの各担任は、タカシくんに「登校しぶり」があったと認識していませんでした。