【前回の記事を読む】いじめは本当に"解消"されたのか?――防止基本方針に潜む言葉のトリックと、繰り返される被害の現実

第二章   国民を(あざむ)く違法ないじめ対策
―学校いじめ防止基本方針の欺瞞(ぎまん)

子どもの実情から乖離(かいり)したいじめアンケート調査

「いじめの早期発見・早期対応」はいじめ解決の要です。学校は、アンケート調査によるいじめ発見を行っています。

文科省の令和3年度の調査によると、いじめの発見のきっかけの多くは、アンケート調査で過半数の54・2%を占めています。

質問内容は国研のいじめ追跡調査内容を参考に、「仲間はずれにされたり、無視されたり、陰で悪口をいわれたりした」「からわれたり、悪口やおどし文句、イヤなことを言われたりした」などです。

そこには、「いじめ」という言葉は使われていません。ところが、ある小学校でアンケートのすべてに「ぜんぜんされなかった」に〇をした児童がいました。

不審に思った先生が「あなたはイヤなことをされたことはないの?」とたずねると、児童は「ぼくのイヤなことが、ここにはのっていない」と答えました。児童は、質問項目にはないいじめを受けていました。

またアンケートは、先生が「作成・実施・回収・指導」とすべて教員主導で行われます。

ある中学校でアンケートを白紙で提出した生徒がいました。理由をたずねると「以前、アンケートに正直に答えたら、突然先生に呼び出され、親にまで連絡されてひどく叱られた。友だちからも文句を言われた。もう本当のことは絶対に書かない」といじめアンケート調査に背を向けました。

ましてや先生のことで悩みを抱えている子どもが、先生の配布したアンケートに正直に回答するとはとても考えられません。

質問項目にも、「あなたは先生からイヤなことをされたことはありますか」とか「あなたは先生から悪口をいわれたことがありますか」などは見たことも聞いたこともありません。