しかし、タカシくんの母親は、タカシくんが友だちの言動にストレスを訴えてたびたび登校をしぶることがあったといい、母親や家族の説得によりタカシくんは登校しました。

こうした子どもの実態と教師の認識の温度差について、国研は「一部の児童生徒の行為を予測できたことで、全ての被害者・加害者を『発見できている』かのように思い違いをしてはなりません」「かなり多くの先生がいじめ問題に対して楽観的過ぎる回答をしている」と警鐘を鳴らしています。

先生たちのだれもが、子どもを理解したつもりになっているだけなのです。

さらに国研は、「いわゆる『いじめられっ子(常にいじめられる子供)』や『いじめっ子(常にいじめる子供)』と呼ぶべき子供はほとんど存在せず、多くの児童生徒が入れ替わりながらいじめに巻き込まれている」「クラス替えのない中でさえ、被害経験者の三分の一が半年で入れ替わる」(平成28年度「いじめ追跡調査Q&A 2013-2015」より)と分析しています。

実際に、いじめの加害者が以前にいじめの被害者だったケースは数多く報告されています。これではいくら先生が子どもを指導しても、

「自分は以前にいじめられていた。今になってどうして自分だけ叱られるのか」などとさらに不満を増大させかねません。

生徒排除のいじめの対応手順

つぎは、「いじめの対応手順」です。

2019年に岐阜市の中学3年生の男子生徒が同級生から給食の時間に嫌いな食べ物を押しつけられるとか、持ち物を隠されるなどのいじめを受け自殺しました。

同校のいじめ防止基本方針は、反省の弁からはじまっています。