介護はある日突然始まり、そしてその先には何があり、いつ終わるのかはまったくわかりません。ですから最初から無理をするととんでもないことが起きるので、できることとできないことを明確にして、できないことまで引き受けないことです。

また今回は母との同居物語を綴っていますが、同居も無理な人には無理、例えば昔から親子関係が悪い方などは、何も同居の選択をせずに、積極的に社会資源を活用することのほうがよいように思います。ただし、施設1にしてもグループホーム2にしてもそれ相当の費用がかかるので、これをどのように手当てするか。

親の年金額や貯蓄を計算して、わからなかったら、ケアマネや地域包括支援センターで相談することが大切です。しかし、地域包括ケアシステム3の流れで、「できるだけ在宅」を勧めてきます。

私の場合も、最終的には、母のグループホーム入所を決めましたが、ケアマネからは「まだ在宅でできるのにもったいない」みたいなことを言われました。でも、在宅介護だけが老親への手当や愛情ではないので、できないことをできると妄想することほど介護においては怖い4ものはないように思います。

 

1)介護保険法には3つのタイプの入所型施設がある。多くの方が利用するのが介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養)。特養は原則要介護3以上で入所可能。ただし、虐待などがある場合は、特例として要介護1から入所可能。なお、短期入所(ショートステイ)は、要支援から利用可能。居室タイプは個室と共同室(4人部屋)があり、ユニット型特養(10名を1ユニットとしその単位で食事などをする。居室は個室)の個室はその広さによっても異なるが、介護保険料やその他すべて込みで15万円くらいだろうか。共同室は10万円以下に抑えられている。個室の値段が高いので、共同室の人気はある。ただし、特養は都内では選択さえしなければ割と早く入所可能。特に都内西多摩の特養は入りやすい。また、要介護4・5の高齢者は施設経営上有利なので入所しやすいといわれる。特養の他には「在宅復帰」をメインに位置づける「老人介護保健施設」、「医療ニーズ」が相対的に高く長期療養の方が利用する「介護医療院」がある。

2)介護保険法の地域密着型施設のカテゴリーに入る「在宅サービス」。地域密着とは原則、その地域に居住する人しかその施設は使えない。グループホームは認知症(確定診断)がある要支援2以上の方が対象。全室個室で、9名で共同生活を送り、食事も利用者含め、皆でつくる。月額費用は12万~13万円。これにおむつ代やホームが指定する医療機関の診療費用や薬代など。全部で15万~18万円くらいだろうか。グループホームまたは施設探しはまずネットで調べてみて、現地に行って外観を確認。そして見学。ポイント①職員の言葉使い②職員の笑顔③利用者の活気。食べこぼしを放置していないかも含め④プログラムの充実度。そして離職率も聞いてみたらいい。あまりに高い場合(15%以上)は気をつけた方がよい。まず何かしらの問題があると考えたらいい。

3)簡単に言えば、できる限り、自宅や在宅(自宅だけが在宅ケアの場所とは考えておらず、そこには有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅も含んでいる)でケアを受けるという国の基本方針。医療や介護の費用を可能な限り抑制するという考え方の一環でもある。

4)放置すると虐待にもつながる。高齢者虐待については、色々なサイトで情報を提供している。まずは厚生労働省や東京都のサイトから当たってみるのがよい。

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