その上で、どうにも納得がいかないので、私の現在の心境を英文の手紙で送ることにしました。

内容は「反則金は速やかにネットで支払いを完了したので確認して下さい。コピーを添えておきます。ただし、私の名誉のために一言申し上げますが、私は違反行為をしたにもかかわらず知らぬふりを決め込んで日本に帰ってきたわけではありません。

指定の場所で駐車違反をしたという自覚がありませんでした。なぜなら、違反のチケットも見ていないし、駐車禁止の場所だったとの認識もありませんでした」と、つたない英語でこう書き綴って手紙を国際郵便で送ったのでした。

私にしてみれば違反だと言われれば、

「分かりました。たとえアメリカといえどもお上には逆らえませんので支払います。ただし一言だけ言わせて下さい。それで気分も晴れて納得いたしますから」

というくらいの気持ちで書いた手紙でしたが、その後二週間ほどして新たな手紙が届いたのでした。

内容は「あなたには、この案件について異議がある場合はロサンゼルス裁判所に申し立てをする権利があります。二週間以内に出頭するか、できない場合は文章にて異議を申し立てることができます。なお、期日までに出頭せず、書類も届かなかった場合は、その権利を失うことになります」といったような内容でした。

それにしても、いかに訴訟大国とはいえ、日本に帰国した人間に対して、ここまで人権に配慮してアフターフォローをするなんて、さすがアメリカだなと感心するばかりでした。

当然出頭もせず、異議申し立ての書類も送らず、自動的に権利を失ったことは言うまでもありません。

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