思い出のブラームスのチェロソナタが弾きたい

翌年二〇一七年一月二十一日になり、過呼吸もようやく落ち着いたかと思って、久しぶりにピアノの練習をしました。この頃は、調子のよいときにときどき練習をするという状態でした。

そんな中、ブラームスのチェロソナタ第一番を弾きたいと言うので、ピアノの楽譜を見ましたが、やはりなかなか難しそうでした。

この後からまた割と練習をするようになりました。弾きたいという意欲が出てきたようです。泰子さんはブラームスを弾くとき、チェロのメロディーを弾いていました。うまく弾けないと過呼吸になってしまうので、無理しないように話をしたりしました。

暴言が始まった

こんなことがありました。いつも寝るくらいの時間になり、泰子さんが急に私のところに来て、「言ってなかったけど、私がカンパネラを弾いているとき、父さんが『うるさいから弾くのやめろ』と言ったので、それから私一度も弾いていない」と怒りだしたのでした。

以前にも「それで私は、ピアノが弾けなくなったんだ」と、すごい剣幕で私を責めたことがありました。こんなことはそれまで一度もなかったのでどうしたらいいかわからず、落ち着かせるのが大変でした。

もちろん私がそんなことを言ったことはありません。

【前回の記事を読む】「今までできていたことの、二割以下しかできていない」それでも喜びは訪れる。

次回更新は9月28日(土)、18時の予定です。

 

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