ピアノを弾くのはやはり楽しい

そうこうしているうちに、泰子さんの「株式会社大起エンゼルヘルプ」(介護事業所)での仕事が始まりました。

この就労については第三章で詳しく触れることにします。仕事はうまくいっていたようで、帰ってきてから頑張ってピアノを練習していました。ピアノを弾くのはやはり楽しいようです。

その後の練習の様子は、次のとおりです。

二十三小節まではある程度できてきたので、チェロと一緒に合わせました。その後、二十四小節からの五小節の右手の練習をして指の形ができてきたら、さらに左手の練習もして最後に両手で合わせました。

練習していた五小節のほんの二小節ですが、弾けるようになってきました。次の練習では、二十三小節までを何回か私のチェロと合わせて、その後の八小節を両手で弾く練習を指導しました。同じ場所で引っかかっていましたが、少しずつ弾けるようになってきました。

また別の日の練習では、少し自分で弾かせて手を慣らしてから、いつも間違って弾いているところを指摘して見てあげました。その後、なかなか音が取れないところを一人でも頑張って練習していました。

少しずつですが、音が取れるようになってきています。そして、再度私が見てあげたら、今まで二十三小節までで終わっていたのですが、何とかその次まで弾けるようになりました。

もちろん、まだいつでも弾けるというわけではありませんが、一人で練習ができなかったこの部分ができるようになったことに私もうれしくなりました。泰子さんも喜んでいました。

そうして日々練習を重ねるうちに、二十四小節からの八小節も一人で練習ができるようになってきました。まだ音を探りながらですが、後はすぐにその音が出せるようになればいいわけです。あと少しです。頑張れ頑張れ。

十月には、三十小節まで何とか一人で弾けるようになりました。

十一月に入っても練習は順調に進み、十三日に四十小節まで一人で弾けるようにまでなりました。

しかしこの後は、なかなか先に進むことができず、その影響かたびたび過呼吸になっていました。過呼吸になった経緯については、第3章の就労支援で触れています。過呼吸の影響でしばらく練習はできなくなってしまいました。