奈良編
古き仏を訪ねて 2015年10月13日(火)~ 15日(木)
10月15日
興福寺(こうふくじ)国宝館
国宝とは何か。文化財保護法によって国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、類(るい)のない国民の宝として国が指定したものとある。
私は国宝でないものでもいいものはいいと頑(かたく)なに思っていた。しかし、聖林寺の十一面観音にしろ、唐招提寺の千手観音にしろ、円成寺の大日如来にしろ、私がいいと思った仏像はすべて国宝であった。
難しいことは分からないが、国宝は意匠(いしょう)的にも技術的にも歴史的にも優れていていいものはいいと、今回の奈良の旅で、私のつまらない思いは氷が解けるようにすっかりなくなってしまった。
金峯山寺 蔵王権現を拝む 2018年11月6日(火)
昨日は京都最南端、当尾(とうの)の里で浄瑠璃寺(じょうるりじ)や石仏群を巡り、その日のうちに近鉄奈良駅に戻って駅付近の宿に泊まった。今日は古来より山岳霊場であった吉野山(よしのやま)へ向かう。
金峯山寺(きんぷせんじ)
吉野山の金峯山寺は修験道(しゅげんどう)を信仰する山伏(やまぶし)の総本山で、今でも、大峯奥駈(おおみねおくがけ)道といわれる吉野から熊野へ通じる山道で修行が行われている。
今日の目当ては修験道の開祖役行者(えんのぎょうじゃ)が感得(かんとく)したと伝わる秘仏蔵王権現(ざおうごんげん)である。
今月3日から特別公開されている。例年、紅葉シーズンの人混みを避けて10月に京都や奈良の仏像巡りをしていたが、今回11月にしたのは、この秘仏の公開に合わせたからだ。
近鉄奈良駅から近鉄線を三回乗り換え吉野駅へ。吉野山ロープウエーは休業中のため代行バスに乗り込む。ロープウエー吉野山駅で下車し、金峯山寺に向かい参道を上っていく。
黒門(くろもん)(総門)をくぐり、しばらくして修復中の仁王門(国宝)を抜ければ巨大な木造建築の蔵王堂(ざおうどう)(国宝)が建つ。蔵王堂は金峯山寺の本堂である。