2. 「たかあまのはら」の研究事例と考察

ここでは、「たかまのはら」との訓読が一般的ではあるものの「たかあまはら」または、「たかあまのはら」と訓読すべきとする研究事例も少なからず存することを明らかにしていきたい。

すでに吉田留や武井睦雄らによって「高天原」の訓注が取り上げられ、「古い時代の発音の保存のため」に「あま」と訓注のままに訓むべきであるとの指摘がある注6)

武井は、「筆録者としては、《訓注の仮名の部分が本文のなかの訓注を附せられた文字の位置におきかえうること》を、つよく志向していた」として全用例にわたって検討し、その論証の過程を丁寧に示している。


注1)『古事記の達成』神野志隆光 東大出版会 昭和58年 p221

注2)『古事記日本書紀必携』別冊国文学改装版 編集 神野志隆光Ⅱ 記紀の新しい視点「記・紀訓読を考える」山口佳紀 學燈社 1996 p13

注3)『国語学』(59)「『古事記』訓注とその方法」 武井睦雄 1964/12  p37

注4)『国語学』(59)「『古事記』訓注とその方法」 武井睦雄 1964/12  p28

注5)「古事記の訓注について」吉田留 『國學院雑誌』昭和16年1月 p 42 ~55

注6)『古事記の研究』西宮一民 おうふう 1993 

【前回の記事を読む】なぜ「高天原」は「たかまがはら」と呼ばれるに至ったか?訓注を読み解いて謎を解け!

 

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