第三章
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私はクジラに伝えたわ。「それじゃあ、伝えてください」と。
お母さんは今でも元気かしら?
私は本当はお母さんと一緒に居たかった。
クジラに連れて行ってもらった所だって、すぐに帰って来てそれをお話ししたかった。
「へえ良かったわね」と頭をなでられたかった。
少し大きくなった私は、お母さんにお茶を入れてあげるのよ。そうしてクッキーを一緒に食べてお昼寝するの。
小学校に行って、たくさんのお友達と勉強や運動をしたかった。
いっしょに遊んで、お母さんにお友達の話をするの。学校の先生の話もするわ。図工でクジラの絵を描いて教室に飾るから、授業参観に来てそれを見てね。
私は先生の言うことをよく聞いて、「分かる人?」って聞かれたら「はいっ!」と大きな声で答えるわ。
答えが当たっていたら、お母さんの方を見るから小さく手を振ってね。気に入ったボーイフレンドを作ったら、お母さんにだけは相談するわね。その子のお誕生日に何をプレゼントすればよいか教えてよ。
やがて結婚をするときは、旦那さんになる人がちゃんとした人かどうか助言が欲しいわね。お母さんの義理の息子になる人だもの。そして私は子供を産むわ。その子のおばあちゃんとして可愛がってくださいね。私はあの時、病院のベッドの上でどうして目覚めなかったのかしら。
お母さんの顔を見て、「心配かけてごめんなさい」と笑って言ったら、美味しいお菓子を食べたかったな。
お母さんは元気でいますか? 私のお母さん。私は、本当はお母さんと一緒に居たかった。
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