第二章 文学する&哲学するのは楽しい
人間くさい文化という営みは深く多彩で面白い
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さて、書は評価基準が明確でないだけに、書道展や選考についての評判が必ずしも芳しくない。例えば、伝統的なM書道展がある一方、Y書道展では〇△派でないと入選できないとか、ある者は誰彼に金銭を積んだとか、真偽は別として煙の立ちやすい世界には違いない。
そもそも、書で飯を食おうや己の影響や支配の裾野を広げようとする了見が間違いなのかもしれない。書の裾野に利害や打算が生じると、子弟関係により入賞する作品群は、商業主義の消耗品として打ち捨てられていくであろう。
書は、和紙を前にしたこころの発露そのものでよい、総理大臣賞とか何とか賞は不要と思うのは私だけであろうか。
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書(道)で一番難しい漢字といえば、間違いなく「一(いちの文字)」である。書をやる者ならば、納得いただけそうである。
横一本線がすべてであるため、その人の全能力と全人格が露出してしまう字である。嘘がつけないのである。しかも、全体構成が極めて難しい。納得のいく「一」の字は、生涯でどれだけ書けるであろうか。
これから私は「照千一遇」を書くことにする。さあ、こころを空にして精魂を傾けることにしよう。