うつ病についても、現在では単なるうつ病は少なく、ほとんどの人は双極性障害の傾向を持つとされているようです。しかしまれに職場などの環境やストレスなどでうつ状態になる人がいますが、これと精神疾患の大きな違いは治るか治らないかです。
精神疾患は、今のところ一度発症してしまうと治ることはありません。症状が安定し一般的な生活が送れる、いわゆる「寛解(かんかい)」という状態にはなりますが、薬を飲み続けないと再発の可能性が大きくなります。再発を繰り返すと症状は悪化して、寛解しづらくなったり、寛解の期間が短くなったり、薬の量が増えたりします。
「治らないならすごくこわい病気?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。一度発症したら薬を飲み続けたり、なかなか治らない病気は、高血圧やコレステロール異常、痛風や糖尿病などの生活習慣病でも身近にたくさんあるからです。
精神疾患もそんな身近な病気の1つなのです。精神疾患は脳が正常にはたらかなくなった時に起こります。
②統合失調症とは
統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康な時にはなかった状態が表れる陽性症状と、健康な時にあったものが失われる陰性症状があります。
陽性症状の典型は、幻覚や幻聴と妄想です。中でも、周りの人には聞こえない声や音が聞こえる幻聴が多くみられます。陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。
周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに、悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂(しりめつれつ)になる、人と関わらず一人でいることが多いなどがサインとして表れます。早く治療を始めるほど回復が早いといわれています。