創業から17年間の経営者としての責任を全うして、私の責任はすべて完遂できたと信じています。

これが、私の「家住期」の53年間でした。

「学生期」、「家住期」という人生の前半生の75年間は、戦後の焼け跡から経済成長期、オイル・ショック、リーマン・ショック、パンデミックを経験した人生でしたが、健康で順調な人生でした。

「家住期」が予定より長くなってしまいましたが、経済的にはこれからの「林住期」を生きていくための安心感を得たと思えば、幸いの結果でした。

これまでの75年間の自分の人生を思い出しながら書いてきましたが、自分の記憶の明確な部分と、曖昧になっているところがあることに気づきました。

人間の記憶は、短期記憶と、長期記憶があるそうです。短期記憶は、「ワーキングメモリ」と言って、頭の中で計算をするために一時的に記憶するもの、コンピューターでのメモリー部分に相当するところだと思います。

長期記憶には、年齢が増えると記憶が薄れる「エピソード記憶」があります。「いつ・どこで」という情報を伴う記憶で、今、自分が思い出している記憶そのものです。

「林住期」を迎えて、これからは、エピソード記憶をはっきり思い出すために、古い写真をながめたり、友人に会って、昔話をする時間を作ったりすることも楽しみになります。

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