ヘルパーさんの話では、ずっしりと重い分厚いテキストがあり、それを見ただけでかなり身構えてしまったそうです。しかも、試験を受けるなどということは、ここ何年もしたことがなかったので、とても緊張したそうです。

でも、話を聞いているうちに、今、介護現場でしていることが頭に浮かび、なんだか少し気持ちが楽になってきたということでした。しかし、これに合格しても、まだこれから利用者個人に対しての実地研修があり、それに合格して『喀痰吸引等研修終了証書』を受けて初めて、利用者と対面しての行為ができるということだそうです。

(二)夫が人体実験台に

いささかミステリアスな表題で恐れ入りますが、そうなのです。華岡青洲並みのあの種の人体実験ではありません。つまりこの研修の実地研修に向けての対象者になるということです。

この研修は、一人、一人のヘルパーさんと夫が、個人契約を結び、行うものなのです。それには家族が必ず同席することというのが条件だそうです。

試験の日は、実験台の昭四郎もかなり緊張しているように見受けられました。訪問看護師の試験官が、厳しい目で、カテーテル(検査や治療のための注入点滴や体液の排出のため体内に注入する柔らかい管)の扱い方、衛生面の気配りの仕方の一挙手一投足を眺めています。ふと見ると、試験を受けているヘルパーさんの身体が小刻みに震えているのが判りびっくりしてしまいました。

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次回更新は9月3日(火)、11時の予定です。

 

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