「竹之下、よく考えてみろよ、連中が言っていることを。俺には既にシナリオができているように思えてならない」

「そうですか、シナリオができ上がっているのですか。社長の言われるそのシナリオでは、今後松葉工業はどうなりますか」

竹之下は心配そうな顔をして聞いた。

「心配するな。そのシナリオを実行させないようにすればよいのだ」

「実行させないように、ですか。なるほど」

「そうだ、実行させないようにするのだ」

松葉は自分に言い聞かせるように言った。

「そのとき、私はお役に立てるでしょうか」

「役に立てるかどうかは、どんなシナリオかによって違ってくるよ」

「シナリオが幾つもあるということですか」

「そうだ、幾つも考えられる。どんなシナリオにも対応していけるようにしていかなくてはならないからな。必ず君の力を必要とするときが来るよ」

「社長、そのときはいつでも言って下さい。奴らの言っていることに、私は我慢できんのです。私は体を張って社長を守り、会社を守ります」

松葉は、体を張って、と言った竹之下の言葉に尋常ならざるものを感じた。

「分かった。ありがとう。実に心強いよ。そのときが来たら必ず話すよ」

松葉はありがたいと心から思ったが、一方では、竹之下が先走ったことでも仕出かすのではないかという不安が過ぎった。

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次回更新は8月24日(土)、8時の予定です。

 

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