「退屈だわ」ジニーは言った「大通りを歩くなんて。眺める窓もないし、歩道にはめ込まれた、かすんだ眼のような青ガラスも見られないんだから」
「私たちは二列に並ばなくちゃいけないわ」スーザンは言った「そして整列したまま歩かなくちゃいけないの、ぐずぐずしたり、のろのろしたりせずに。ルイスが先頭に立って私たちを先導するわ、なぜってルイスは用心深いし、ぼんやりしていないもの」
「僕は」ネヴィルは言った「ひ弱すぎてみんなと一緒に行けないと思われているし、すぐに疲れて気分が悪くなるから、この孤独の時間、この会話を免れた時間を使って、家の中のいつも行く場所を一周してみよう。
そして思い出してみよう〈思い出せるかな〉、二階の廊下に続く階段の途中、昨晩と同じ段に立ち、スイングドア越しに死人の話が聞こえてきたときに感じたことを。料理人が、かまどの空気調節弁を出し入れしながら話していたんだ。
その男は喉をかき切られていたとのことだ。リンゴの木の葉は夜空にじっと動かず、月がまぶしく輝き、僕は階段を一歩も上ることができなかった。その男は溝で見つかり、血がどくどくと溝を流れ、下あごは死んだタラのように白かったそうだ。僕はこの拘束、この硬直を、『リンゴ林の中の死』と呼ぼう、永遠に。
うすねずみ色の雲が浮かび、恐怖に身のすくむ木、怖くてどうしようもない木が、銀色の樹皮を脛すね当てのように纏まとっていた。元気を出そうとしても無駄だった。
そこを通ることができなかった。障害物があったんだ。『この訳の分からない障害物を乗り越えられないぞ』と僕は言った。でも他のみんなは通り過ぎていった。しかし僕たちはみな、そのリンゴの木、恐怖に身がすくみ通り過ぎることのできない木のために不幸な運命を歩むんだ。
【前回の記事を読む】「そして叫ぶわ、『どうか私を、時間の輪の外にいつまでも放り出したままにしておかないで！』」
