「動詞をどう活用させるかは」ルイスは言った「バーナードが言ってから考えよう。僕のお父さんはブリスベーンの銀行家で、僕にはオーストラリア訛なまりがあるんだ。待ってバーナードのまねをしよう。

彼はイギリス人、みんなイギリス人だ。スーザンのお父さんは牧師、ローダにはお父さんがいなくて、バーナードとネヴィルは紳士階級の生まれだ。ジニーはおばあさんとロンドンに住んでいる。

みんなペンをしゃぶり、習字帳をねじ曲げ、ミス・ハドソンを横目で見ながら、彼女のベストに並んでいる紫色のボタンを数えているぞ。バーナードの髪の毛には木くずが付き、スーザンの眼は赤いな。二人とも顔が上気しているぞ。でも僕は青白い。

身だしなみが良く、ニッカー・ボッカーも、真鍮のヘビ型留め金ベルトを締めてきちんとはいている。教科書はそらで言えるし、僕の知識にみんなが追いつく日なんて来ないのさ。ラテン語は好きだし、格変化や性だって知っている。

望めば世界中のどんなことだって知ることができるんだ。だけど一番を取って、みんなの前でラテン語の教科書を暗唱するのはいやだな。僕の根は張りめぐらされているんだ、植木鉢のなかの根みたいに、世界中至るところに。

一番になって、この大時計を気にしながら暮らしたくないのさ。〈黄色い文字盤で、チクタクと音を立てているぞ。〉ジニーとスーザン、バーナードとネヴィルは、結託して僕のことをいじめるんだ。

みんな僕のきちんとした身なりやオーストラリア訛りを笑う。よし、バーナードが小さな声で、たどたどしくラテン語を発音するのをまねしてやるぞ」

「ラテン語は白い色をした言葉だわ」スーザンは言った「海辺で拾う石のように」

「僕が喋ると、ラテン語はしっぽをすばやく左右に動かすんだ」バーナードは言った「しっぽを振る、すばやく動かす。群れになって大気を横切る、こっちかと思えばあっちに。群れになって飛んでいるかと思えばぱっと別れ、すぐまた一緒になるんだ」

「ラテン語は黄色の言葉、火のような言葉よ」ジニーは言った「夕暮れ時には、燃えるようなドレス、黄色のドレス、橙だいだいいろ色のドレスを着てみたいわ」