「やっと拘束と硬直がすぎ去ったから、午後おそく、日ぐれどきに、家の中のいつも行く場所を見て回るのを続けよう、太陽がリノリウムの床に油のような光のしみを付け、壁に当たった強い光が反射するため、椅子の脚が壊れたように見えるころに」「家庭菜園でフローリーを見かけたのは」スーザンは言った「散歩から帰ってきたときで、洗濯物が彼女のまわりで風をはらんでいたの、パジャマやズボン下、ネグリジェがぱんぱんにね。そ…
[連載]波
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小説『波』【第8回】内木 宏延
【ヴァージニア・ウルフ『波』翻訳】歌うときに泣かないでいるのは難しいな…神よ眠れるわれらを守り給えと祈るときに。
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小説『波』【第7回】内木 宏延
「うすねずみ色の雲が浮かび、恐怖に身のすくむ木、怖くてどうしようもない木が、銀色の樹皮を脛すね当てのように纏まとっていた。元気を出そうとしても無駄だった。」
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小説『波』【第6回】内木 宏延
「そして叫ぶわ、『どうか私を、時間の輪の外にいつまでも放り出したままにしておかないで!』」
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小説『波』【第5回】内木 宏延
竜骨をも削れる切れ味の良い僕のナイフを持ったまま彼は彼女を追いかけた
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小説『波』【第4回】内木 宏延
「悲しいわ」って泣き叫んでいる君を見て僕はナイフを下に置いた。
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小説『波』【第3回】内木 宏延
「どうか見つかりませんように…」願いはむなしく、彼女が僕を見つけた。
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小説『波』【第2回】内木 宏延
硝子に反射したまぶしい光が、草の上でちらちらときらめく。
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小説『波』【新連載】内木 宏延
水平線の縁には弓なりの炎が燃え、あたり一面の海は金色に燃え上がった