「さあ四つん這いになって行こう」バーナードは言った「スグリの枝葉が差し交わす下を。そして物語を作ろうよ。黄泉(よみ)の国に住もう。僕たちの秘密の領土を手に入れよう。そこは、枝付き燭台のように垂れ下がったスグリの実に照らされているんだ、片面が赤く輝き、もう片面が黒く色づいたスグリの実に。

ほら、ジニー、もしお互い体を丸めてくっつき合えばさ、僕たちはスグリの葉でできた天蓋の下に座り、つり香炉が揺れ動くのを見ることができるよ。ここは僕たちの宇宙。他のみんなは馬車道を向こうに歩いて行く。ミス・ハドソンとミス・カリーのスカートがさっと通り過ぎていく、ろうそく消しみたいな形だな。

あれはスーザンの白いくつ下。あれはルイスの清潔なズック靴、砂利の上にしっかりと足跡を付けていくぞ。朽葉や腐った植物の匂うなま暖かい風が吹いてきた。僕たちは今湿地帯にいるんだ、マラリアのはびこるジャングルに。ウジ虫がたかって真っ白になった象がいるぞ、矢が眼に命中して殺されたんだ。

ぴょんぴょん跳ぶ鳥たち――ワシやハゲワシ――の輝く眼がはっきり見えるぞ。僕たちを倒木だと思っているんだ。鳥たちは大ミミズをつつき――よく見るとそれは鎌首をもたげたコブラだ――、化膿した茶色の傷を残したまま放っておくから、やがてライオンに切り裂かれてしまうんだ。

ここは僕たちの世界、三日月や星の形をした光に照らされ、半透明の大きな花びらが、紫色の窓のように光の通り道をふさいでいるよ。すべてが不思議だ。

巨大だったりとても小さかったり。花の茎はナラの木の幹ほどもある。木々の葉は広大な大聖堂の丸天井ほど高いところにある。僕たちは巨人で、ここに横たわり、森を震わせることができるんだ」

「私たちの世界はここ」ジニーは言った「そして今よ。でもすぐに出ていくの。もうすぐミス・カリーが笛を吹くわ。私たちは歩くの。そして別れるわ。あなたは学校へ行くの。あなたが教わる男性教師は、十字架を白い紐でぶら下げているわ。

私は東海岸にある学校で女性教師から教わるの、彼女はアレクサンドラ女王の肖像画の下に座っているわ。そこが私の行くところ、スーザンもローダも。私たちの世界はここにしかないの、今にしか。今私たちはスグリの木の下で寝ころび、そよ風が吹くたびに体じゅうが斑まだらになるわ。

私の手はヘビの皮膚みたい。私の両膝はピンク色をした島が浮かんでいるよう。あなたの顔は、網ですっぽり覆われたリンゴの木みたいだわ」「暑さが和らいでいく」バーナードは言った「ジャングルから。木の葉がふたりの上で黒い翼を羽ばたかせるんだ。

ミス・カリーがテラスで笛を吹いたぞ。僕たちはスグリの葉でできたテントからそっと出て、まっすぐに立たなくちゃいけない。髪の毛に小枝が付いているよ、ジニー。首には緑色の毛虫が付いている。みんなで二列に並ばなくちゃいけないぞ。ミス・カリーが僕らを早足の散歩に連れて行く間、ミス・ハドソンは机に座り、決算をするんだ」