私は息子さんには、「今までの状況から、申し上げにくいが、施設側としての体制を整えるのに数カ月の時間が欲しい」ということをお伝えしました。

これは業務を改善すると口先での約束は簡単ですが、この約束が守れないとかえって息子さんの感情を逆撫ですることになるから、という私の判断でした。

この後、体制整備は道半ばです。しかし運営上、できていないところをそれこそ「繰り返し、繰り返し」徹底して指導していることから少し希望の光が見えてきたかなと思っています。

この間、吉田さんの息子さんには、お電話や直接面会してご意見を伺うなどを、繰り返し行うことにより、当施設が変わることを見守ってくださるという「当施設にとっての理解者」になってくださっています。

この経験はまだ簡単には完結するような話ではありませんが、改めて勉強になる機会でした。

契約に基づき、老人ホームに入居いただいている限り、しっかりとしたサービスを提供するのは大前提です。しかも、そのサービス提供を受ける入居者にとってサービスは質が良いほうがいいに決まっています。

そうであれば施設側が入居者や家族と「しっかりと対話をしながら生活を創り上げていくこと」はお互いにとって非常に大切なことです。

今回、入居者とそのご家族と誠実に向き合い、対応することを通じて、当初の苦情が、当施設にとって最大の支援者の「応援」となって返りつつあるのです。

さあ、これからも期待に応えるよう、頑張ろう。

 

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