私が久しぶりに、施設長になってすぐ、クレーム対応で非常に良い経験をしたのでここで紹介したいと思います。

吉田さん(仮名)は、私が施設長に就任する少し前に入居されました。この吉田さんには非常にお母さん思いの息子さんがいらっしゃいます。

実は、私が施設長に就任するまでも、介護のあり方や対応で、吉田さんや息子さんはかなりの不信感をお持ちのようでした。

もともとの原因は施設側の様々なミスから派生したものであり、対応はいろいろと試みたものの当時の施設長ではいよいよ難しくなったため、私が施設長に就任したという経緯がありました。

さて、私がすぐに取り掛かったのは、吉田さんの息子さんと前の施設長との間で何が大きな問題であり、不信感を招いている原因なのかを周囲の職員にヒアリングすることでした。すると以下のようなことが分かってきました。

・業務上のミスを起こしても入居者に素直に謝罪できていない。

・施設長は入居者と対話をしない。

施設長がこのように苦情に素直に向き合わない状況であると、当事者である吉田さんの息子さんとしては、その矛先は周囲の介護職員に向かってしまう。こうなると当然、周囲の介護職員との人間関係もドンドン悪くなっていきます。

私は、まずは吉田さんの息子さんとの面談を行い、初めに職員へのヒアリングを行ったことや、当方の施設長がしっかりと吉田さんに向き合い、対話していなかったことをお詫びしました。

当初吉田さんの息子さんは非常に険しい表情で、当施設に対する不信感が容易に見て取れました。

まずは、息子さんのお話を傾聴し、そのうえで、施設運営における業務上のミスについて、対話を通じて、しっかりと職員教育を施設長である私が行うことをお約束しました。