*光明真言(参考文献:『よくわかるお経の本』 由木義文著 講談社)真言とはサンスクリットでマントラといい、バラモン教祭官の呪文の事。
「おん あぼきゃ べいろしゃの まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん」
中でも、この光明真言は釈尊の悟りの耀きを意味するもので、悟りを求めての祈りの言葉です。現代の言葉に訳せば「オーム 不空なる者よ 毘盧遮那(びるしゃな)よ 大印を持つ者よ 摩尼(まに)と蓮華よ 光明を放て フーム」となります。
真言密教における根本仏である大日如来は太陽の化身ともいうべき仏で、釈尊のもう一つの姿。光明真言の正式名も「不空羂索毘盧遮那仏大灌頂光真言(ふくうけんじゃくびるしゃなぶつだいかんじょうこうしんごん)」といいます。
*弘法大師真言(大師御宝号)
「南無大師遍照金剛」と、お大師様の法号「真言八祖 遍照金剛」を唱えます。お大師様と共に「同行二人」の縁を得て、参拝できる今に感謝します。
*回向文
参拝の結びに、今の心の実態を言葉にします。
「願以此功徳 普及於一切 我等与衆生 皆共成仏道」(願わくはこの功徳をもって あまねく一切に及ぼし 我らと衆生(しゅじょう)と皆共に仏道を成ぜん)
開経偈から始まり、御宝号までの読誦参拝を功徳と見なして、自他共に仏の道を守れます様にと、参拝のご利益を渇仰(かつごう)する。
*その他の経文
・舎利礼文(しゃりらいもん)
「一心頂礼 萬徳円満 釈迦如来 真身舎利 本地法身 法界塔婆 我等礼敬 為我現身 入我我入 仏加持故 我証菩提 以仏神力 利益衆生 発菩提心 修菩薩行 同入円寂 平等大智 今将頂礼」
・十句観音経
「観世音 南無仏 与仏有因 与仏有縁 仏法僧縁 常楽我浄 朝念観世音 暮念観世音 念念従心起 念念不離心」
・観音経(妙法蓮華経 観世音菩普門品(ふもんぼん)第二十五)
・世尊偈(せそんげ)
ちなみに、観音行とは観音菩薩が誓願した、世の中の衆生済度のための実行力の事。
また、経典に出てくる「南無」というのは「南が無い」、すなわち釈尊涅槃(ねはん)時に頭が北向きであったとかで、霊地聖地は北方向にあると考えたのか、ひたすら一心に信仰の方向を示す言葉です。一般的には、帰依の意思表示の言葉と考えられています。
供物等
お賽銭(勧進・寺への寄進)――
お賽銭は「仏・寺に対するお布施」で、参拝ができるお寺に感謝し、お寺の維持管理に感謝の心を表すものです。
蝋燭(照明)――
参拝者の存在表現ともいわれています。灯す事で「今から参拝する者です!」とご挨拶をするわけです。明暗・献灯・夜灯・滅暗・龍灯・光明・徹明・龍光・灯明・常夜灯・除暗等、色々な呼称があります。
線香・献香(仏に対する香りの供養物)――
香の三徳は「願意成就します様に」という気持ちを込めた……
一 献香・戒香(仏・自己共に戒を持つ)
二 定香(じょうこう)(清らかな心を持つ)
三 解脱香(悟りを持つ)
という事で、戒=仏と一体化、定=仏の心を持つ、解脱=仏と共に生きるという願いです。また、一本目は仏に帰依、二本目は仏の教えに帰依、三本目は教えの実践という意味もあります。
【前回の記事を読む】一人であってもひとりではない 自分自身と対話し、人生の苦楽に答えを求めてへんろは始まる