よかったら、お手伝いしますよ

子どもの監視の目を盗んで、私は警察に嘆願書を書いた。彼に騙されたほかの高齢者からも、同様の署名が集まっていると聞いたからだ。

坂本曜のやったことは悪いことだけど、あの子は心の底から悪い人間ではない。これだけは私自身が深く信じて、疑っていなかった。

「なんとか坂本曜の罪を軽減してください。なんとか彼に、やり直しのチャンスをお与えください」

拙い文で、平仮名だらけだったけど、必死に便箋に文字を記した。

「坂本曜が家に来て、幸せでした」で締めくくった手紙を、地域の警察署長に送った。

それから、私は心を閉じた。心を閉じていなければ、とても耐えられなかった。近所の人からも、好奇の目で見られ、息子や娘のつれあいには、当たり前のようにいくつもの嫌がらせをされる。

食事も満足に与えられずに、外に散歩に出る機会さえ奪われた。それから間もなく、私は施設に入れられることになった。

施設とは名ばかりの、質素で古びたマンションだった。サービス付き高齢者向け住宅とは名ばかりで、食事はとても粗末なものだった。時々食事を抜かされていると感じるのは、私がぼけているせいだけではない。ほかの入居者にも、「食事が三食出ないわね」と言われたことがある。なにより嫌なのが、トイレの掃除がされないことだ。