全身を専用の機械に乗せ寝かせた状態で、シャワー洗浄をして頂いた。凄い機械があるものだ。更に看護師たちは、手作業で妻の髪の毛を丁寧に洗って下さった。明るく対応頂いた皆様にお礼を申し上げた。
その日の夜、脊髄担当医が、ふくらはぎの中に心臓に飛び込みそうな血栓がないか、くまなくエコー検査して下さった。重症の左脚には問題がないと聞き、私は一人廊下で泣いた。迷信など一切信じない私だが、全世界の神様にお礼を申し上げた。
次の目標は3つ。
・ベッドの上で起き上がる訓練を開始する。
・起き上がれたらベッドから車椅子に移る訓練を開始する。
・車椅子に乗れればリハビリ室に移動して、新たな訓練が開始できる。
医師から次のような説明があった。
「人間の肺は胸の前と背中の両方で吸入と排気を繰り返している。この1カ月間は、仰向けの寝たきり状態のため、背中の肺はベッドに押さえられ機能が減退した。しばらくは50パーセントの呼吸となる。難局も想定され、回復には尚、時間を要す」
心臓が時々痛むことに関して、何らかの疑念がある場合、24時間の心臓の検査が必要となる。しかし、今は立ち止まる余裕はない。身体機能全体の回復を優先させるべきと、心臓の検査は先送りにした。
日々、生きるために優先順位を変え計画の練り直しを図る。妻と私の意見に寄り添う若き脊髄担当医師が、リハビリ担当医と看護師の説明をしっかり聞き、メモを取って下さっている。次へ次へと治療計画を練って頂ける環境に感謝申し上げた。
今日も「お家に帰りたい」と願う妻に「何としてでも、家に帰してあげる」と誓った。
支援頂く全ての方に「ありがとうございます」と申し上げたい。