プロローグ

昭和二十年に一男三女の末っ子として生まれた。

私にとっての原風景は、越後山々と日本一の信濃川である。自然がいっぱいの土地で育った。

話すのは苦手だったが、本を読むのは大好きな子で、図書室でよく一人で本を読んでいた。そんな子に大きな影響を与えたのが、中学一年の担任だった。国語科担当の先生で、いろいろな世界があることを教えてくれた。

高村光太郎の『道程』や『智恵子抄』もこの時初めて知った。深い意味も分からず、「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる」などと暗唱したものだった。

その頃から、趣味は?と聞かれたら「読書」と答える時期が続く。本好きは大人になっても変わらず、現在の「絵本の読み聞かせ」の活動にも繋がっている。

本を読むのが大好きな人間が、ひょんなことから本を書くことになった。果たして読者から著者へ変身できるだろうか。もちろん二刀流もあり得る。心の奥に微かな願望としてはあったのかもしれない。いつか自分の本を出したい、と。

「僕の後ろにできた道」を振り返りながら、一つの作品として仕上げていく過程は、楽しみでもあり、スリリングなことでもある。まだまだ私の世界は広がる予感もする。

私の世界へようこそ!