やがてぽろもきは、計算の成績があまり上がらないまま、仕事を始めて自立する年頃になった。今までの計算試験の成績をまとめて職業審査会場に提出し、職場を決めるための面接会場に重い足取りでたどり着いた。面接官が審査結果をため息交じりで発表した。

「ぽろもき君、君の成績では、とても給料の高い階級にはつけないよ。最低の貧しい階級の仕事しか見つからない。したがって、この島には住めなくなる。時間をあげるから、もう少し計算の勉強をして、再試験を受けるということにしよう。君のご両親が特権階級だから、これは特別な対応だよ。再試験の日にちはこちらから知らせるよ」とのことだった。

想定内の結果通知を手に、なるべくゆっくり歩きながら家に帰って父と母に面接の結果を伝えた。

「まったく、だからおまえはダメなんだ。人間のクズだな」

父は強い口調でそう言った。怒りと嫌悪と蔑みの感情が目の奥から出ていて、強い口調はそれらをぽろもきの胸に見えない釘で打ち込んできた。

母は、冷たい怒りに満ちた眼差しをぽろもきに向けながら、父の言葉に相槌を打っていた。妹は無表情で下を向いていたが、唇は微かに笑みを帯びていた。

それからしばらく、家で計算の試験勉強をするぽろもきだったが、妹によくその計算レベルを馬鹿にされ、計算間違いも指摘された。本人にはもちろん辛い日々だったが、家族も“うっとうしい”と感じていることが肌でわかった。