巨匠ミケランジェロが製作した像に天井に広がる「天地創造」の絵画。ほのかなオレンジ色の光で灯されたシスティーナ礼拝堂は、サン・ピエトロ大聖堂の魅力を余すことなく伝えていた。

ミケランジェロは約七年がかりで、梯子を使って仰向けになりながらこの「天地創造」の絵画を完成させたとの説明を受け、何という忍耐力なのだろうとそちらにも感動したものだ。

某世界的発明家が「天才とは九十九パーセントの努力と一パーセントのひらめきである」との名言を残したが、ミケランジェロの残した作品からは、彼の努力はとても九十九パーセントに収まらないのではなかろうか。サン・ピエトロ大聖堂の外でも、ダビデ像など多くの有名作品を残したのだから。

バチカン市国で少しの間お土産を探した後、私たちを乗せたバスは「真実の口」へと向かった。不朽の名作「ローマの休日」にも出てくる、あの世界で最も有名なマンホールの蓋だ。実際に見てみると、本当に人の顔としか思えなかった。

丸く小さく穴の空いた二つの目、中央には人間の鼻を思わせる線がくっきり引かれ、そしてその下には例の口がある。そう、嘘をついたら噛まれるという伝説のあるあの口だ。

参加者の皆様は(私を含めて)一人ひとり心の中で懺悔しながら恐る恐る口の中に手を入れた。私が何を告白したかは正直覚えていないのだが、ひとまずは噛まれずに済んだ。

「真実の口」で手を噛まれないかひやひやした後は、トレビの泉へと向かった。真っ白なゴシック様式のネプチューン像、それによく映える真っ青な水の色。人混みでちゃんとコインを投げられるかとも不安になったが、順番はすぐに巡ってきた。

私はコインを一枚投げることに決めていた。コイン一枚はまたローマに来られること、二枚目投げれば結婚できることは事前に知っていたが、添乗員さんの話を聞いて仰天した。

三枚投げれば離婚、更に追加でもう一枚投げると嫌な人と縁切りまでできてしまうというのだ。日本にも縁結びの神社、縁切り神社というものはあるが、それが(人によっては)一度にできてしまうトレビの泉はなんて画期的なのだろうと考えてしまった。

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次回更新は7月15日、11時の予定です。

 

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