中学最後の決断
二〇〇七年の中学最終学年。当時の年齢を考えれば、それはとてつもなく大きな決断だった。
あの頃私は学校での人間関係に嫌気が差し、いわゆる不登校となっていた。同級生と遭遇したくないので外にも出ない。勉強する意欲もない。夏休み明けからフリースクールも行くには行っていたが次第にそれも負担に感じるようになってしまい、家で何もしないことを好むようになった。
そんな生活を変えたのは、祖母から急に舞い込んだ旅行の話だった。行き先はイタリア。この時突然、何かが変わるかもしれないといういわゆる心の声が聞こえてきた。私はすぐさま同行させてほしいと祖母に伝え、その後多くの人の支えでイタリアに行く手続きをしてもらった。
そうして迎えた二〇〇八年、中学卒業間近の三月頭。あの六泊八日の旅は、生涯忘れられないものになった。今まで行ったどの海外よりも感動に満ちており、何より私にもっと広い世界を見つめさせてくれる旅となった。
あの時イタリア旅行の話を持ち出してくれた祖母、あの精神状態でもイタリア行きを後押ししてくれた両親、祖母のご友人のIさん、ツアーで一緒に旅をし、温かく見守ってくださった皆様に、遅ればせながらこのエッセイを献辞したいと思う。