カトリーヌが別れを、僕とワルツさんに告げに来た日の夜、僕は教会に行った。
そして殺意を持って奥さんの前を横切った。
奥さんは寝ていて気づかなかった。
手応えがあったよ。
この人は、翌朝死ぬって。
僕は死神を呼ぶ黒猫だ。
だから、これ以上本屋にいられない。
自分が優しくなっていくのが、怖いんだ。
優しさは憎しみを呼ぶ。
いつかカトリーヌが愛した人の前を横切るかもしれない。
だから、カトリーヌ、僕は僕にふさわしい場所に行くことにした。
「囁き森」の住人たちとはきっとうまくいく。
だって、僕は額にナイフの傷がある黒猫だから。