刑事狩り

「そう言えば、有田さんの親父さんは警察庁勤務のキャリアなんだって? 親父さんは君が同じキャリアの道に進んでほしかったんじゃないのか?」

「はい、でもあたしはどうしても刑事になりたくて。今は父も応援してくれています」

「そうか、それは良かったな」

有田は取り皿のパスタをぺろりと平らげ、二杯目のワインも飲み干した。

「いい飲みっぷりだな」

「はい、段々調子が出てきました」

佐伯は苦笑しながら有田のグラスにワインを注ぐ。

「課長、今日の話のことなんですが、具体的には課長はどのように刑事課を変えようと思っているんですか?」

有田はワインを一気に飲んだせいで顔が真っ赤になっていた。

「刑事はね、今の時代に乗り遅れていると思うんだ。この科学捜査全盛の時代に、未だそれに馴染めない刑事がいる。しかも命令を無視したり個人プレーにすぐ走る。上司に楯突くことが格好いいなんて思っている輩までいる。こんなんじゃ、刑事はいずれ滅びる。状況に応じて常に進化していかないと」

有田はびっくりした様子で佐伯を見つめた。

「いや失敬。失言が多かったか。次代を担う若者のためにも我々には責任があるんだよ」

「課長って、みかけによらず熱い人なんですね」

「なんだよ、みかけによらずってのは」

「そんな変な意味じゃありませんよ。なんか課長って素敵な人だなって。課長の下で仕事ができて光栄です」

「そうか? なら良かった」