「ありがとう、賛成してくれて。貴方に賛成してもらえて素直に嬉しいけど、どうして日本の政治家は法務行政がこんな酷い状況になっているのに関心がないの?」

と桜田が法務行政の怠慢を団にぶつけた。そう問われて

「……一言で言ってしまえば『票』にならないからだと思う。昔の法務大臣には死刑執行命令書への署名を拒否した大臣までいた。

大臣としては職務放棄に等しいよ。また法務大臣中に死刑執行の数が多かった大臣に向かってマスコミが付けた徒名が有名な「〇神」だった。とにかく一般有権者受けしない事だけは確かだ。

だから大臣ポストとしては美味しいとはいえないので大過なく過ごす事が慣例となりつつあり、『刑務所の数が足りない!』何て勇気を持って言い出す大臣は皆無だといっても過言ではない。

勢いしわ寄せが起訴率や刑務所への収容者数をどう減らすかという調整という名の愚策に終始してしまう。その結果、司法が崩壊しそうなまで逮捕歴九回なんて馬鹿げた現象を生み出しているのが現状なのさ、情けない話だけれど……」

と法務行政への政治家の熱意のなさ理解のなさを嘆いて見せた。これを受け

「それでは困ります。釈迦に説法だとは重々承知して言わせてもらいますけど、日本には捜査権を持つ機関は、私が所属する内閣府所管児童・母子福祉警察を含め六機関、代表的なマトリ(厚労省麻薬取締官)や海上保安庁等各省庁、横断的に存在しているけれど起訴権を有するのは、唯一検察官なのだから、せめて送検された事案の七割くらいを起訴してもらえなければ被害者は浮かばれません。

再犯が横行して被害者を続発させてしまいます。正に検察官は法の番人であり犯罪の抑止という重責を担っているのですから、刑務所の定員を気にしながら恐る恐る起訴に踏み切る様では、各省庁にまたがる捜査機関と齟齬(そご)をきたしかねません、そうは思いませんか?」と検事を質した。

 

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