父は袋から色とりどりのオーナメントを取り出す。僕が好きな雪だるまやキャラクターの物もあり、一瞬にして気持ちが舞い上がる。
「僕、サンタさん作ったよ」
保育園で作った折り紙のサンタクロースを、かばんから取り出し父に見せた。
「かわいいなあ。お母さん喜ぶぞ」
父に褒められ有頂天になり、ツリーの周りをひらひらと踊りながら飾りを付ける。ツリーのてっぺんにお星さまを飾ると、母が毛糸で編んだ赤地に白い縁取りの靴下をツリーの下に置いた。長さが五十センチはある大きな靴下だ。
「これなら、光がサンタさんにお願いしてたプレゼントも余裕で入るな」
父が靴下と自分の足を比べながら笑う。僕も満足げに頷いてみせる。
「お父さんは、サンタさんに何をお願いしたの?」
聞くと、父は少し間をおいてから、「お母さんと光がずっと幸せでいられますようにってお願いしたのさ」と、僕の頭を撫でた。
「えっ、それはプレゼントじゃないよ」
「目に見えないプレゼントだってあるんだよ」
父がにっこり微笑む。
「僕、合体ロボットやめようかな」
僕は意を決して言った。
「お父さんがみんなの幸せをお願いしたから、大丈夫。それにもう、サンタさんは光のお願いを聞いて、合体ロボットを用意したと思うんだ」
父は慌てて僕の両肩に手を置いた。
【前回の記事を読む】「光は俺に似て二枚目だなあ」「うん、お父さんも僕に似てかっこいいよ」