序 章

私はまだグレーの部分を感じています。特に文科省が「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査最終まとめ」(2018年12月14日)のなかで「不適切な事案と疑惑を招きかねない事案」として挙げ、懸念していた項目です。

正確に引用すると「補欠合格者からの繰上合格が例年多数になるにもかかわらず、教授会や入試委員会等で正式に合否判定がなされるのは正規合格者についてのみであり、

補欠合格者の決定や繰上合格の手続きが学長、学部長、入試委員長又は入試課長などの一部の教職員に一任されており、その顛末や手続きの公正性を証明する資料や記録が残されていない事案」です。

現在、すべての医学部でこの部分は透明性が確保されているのでしょうか。

また、不正入試の事例で挙げられている 2 大項目(①特定受験者の優遇・成績順番飛ばし、②属性を理由とした一律的な取扱いの差異)のうち、後者が徹底されているのかも気になります。後述する「枠」を使っての入学者は増加しています。

合格基準は大学が詳細に入試要項で定めるのが原則です。

校友会や大学関係者の「枠」を使って優遇していないことを明確にするため、求める人物像やその基準等を「アドミッションポリシー」で明記し、一連の入試(特に面接や集団討論)や合否判定において受験生のマスキング(性別・出身校・親の職業を隠すこと)の徹底を明示することを入試要項で説明することも必要だと思います。

こうした入試制度や一般に伝わっていない情報も、正確に伝える義務があると思っています。受験の状況は刻々と変わりますが、この十数年で私が得た情報は正確にお伝えし、共有したいと思っています。