③総括原価方式による電気料金

しかし、裁判所が、料金設定の審査を行うことは困難であり、裁判官は、法的、または経済的、社会的な判断をどのようにすればよいのかが問題となってくる。

そこで裁判所としては、公益事業委員会の規制等による料金設定の決定が、結果(end result)的に「公正かつ合理的」(just and reasonable)な料金であるかどうかを判断することとなってきた(Federal Power Commission v. Hope Natural Gas Co. 320 U.S. 591, 602〈1944年〉)。

すなわち、もしも料金決定の総合的効果が不公正および不合理であるということができなければ、同法上の司法審査は終了する。料金決定を覆そうとするものは、それが不公正および不合理であって無効であることを確信させる重い挙証責任を果たさなければならない、と判示するようになった。

ただし、裁判所としては、料金決定が投資者と消費者との利益をバランスさせることが必要であるとし、正当な投資者の利益には、規制を受ける会社の財務上の健全性が含まれることを明らかにしている。

そして、投資者にとっては、経常費用だけでなく営業の資本コストのためにも十分な収益が存在することが重要であることを認め、その信用を維持しおよび資本を引きつけるために財務上の健全性に対する信頼を得るために十分な利益が必要であることを判示した(Id at 603.)。

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